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2016.09.04ブログ

「電化でナイト・セレクト」の落とし穴

今年4月の電力小売り自由化がスタートしてから5か月目になりました。

現在は2020年4月の電力自由化完成までの移行期間として特別措置期間中なので、2020年3月末までは2016年3月31日以前の電気契約は継続して有効です。
よって、4月当初は大きな変化はありませんでしたが、最近になってちらほら電力自由化以降の新料金メニュー「電化でナイト・セレクト」で契約される方が出てきました。

2016年3月以前の「電化でナイト」と2016年4月以降の「電化でナイト・セレクト」で大きく異なるのは以下の3点です。

1、メーターがスマートメーターに替わる。
(電化でナイト=デジタルメーター、セレクト=スマートメーター)
2、基本料金が変動する(実量制になる)。
(電化でナイト=アンペア数で決まる、セレクト=実量制で決まる。30分単位で24時間計測した電力使用量の最大値で決まる)
3、昼の時間帯は単価を値下げ。平日と土日で単価を変えて土日を割安に。逆にナイトタイムは2円程度値上げ。

これは一見すると、昼間の料金単価が安くなったので、「電化でナイト」から「電化でナイトセレクト」に料金メニューを変更すると、
値下がりするように見えます。ナイトタイムは2円値上がりしていますが、それでも格安です。

電化でナイト(季時別電灯)(2016年3月までで募集終了)

電化でナイト・セレクト(現行メニュー)

しかし、ここで大きな落とし穴があります。

従来の「電化でナイト」のポイントは、電気を何時頃使ったか、に左右されるものでしたが、「電化でナイト・セレクト」は30分毎に計測されるデマンド値(30分間の最大消費電力)に左右されるメニューです。

3月までの「電化でナイト」の基本料金はアンペア数で決まっていました。
それに対し、「電化でナイト・セレクト」の基本料金は実量制(=30分間毎の最大電力消費実績)で決まります。

実量制とは、スマートメーターで30分毎の実績値を計量し、当月と前11か月における最大値を契約電力とする制度です。
実際に使った電力使用量をスマートメーターで30分単位という細かい時間帯でリアルに計測されます。
その30分間で一度に使った電力使用量の過去1年間の最大値で基本料金が決まります。
しかも、その最大値が1年間有効になります。
つまり、一度上がってしまった基本料金は最低でも1年間は下がることはありません。また、数か月後にさらに大きな電力消費を計上してしまうと、そこからさらに1年間は基本料金が上がったままです。

ここで重要なのは、基本料金がアップするとどの程度上がるのか、ということです。

3月までの「電化でナイト」は6kVAまでは1,188円、10kVAまでは1,620円、以降、1kVA超過毎に291.6円UPでした。
4月からの「電化でナイト・セレクト」は基本(~10kW)が1,620円、そして10kWを超える場合はなんと4,320円!
なんと2.6倍!

一度10kWを超過してしまうと、その瞬間に年間の電気代が32,400円UP!!!!

ナニコレ?「値上げ」というよりは(以下発言自粛)」!!!

ここで注意していただきたいのは、一日の電力消費が最も多いのは日没後から夜間・夜中にかけてですよ。
そこでは当然太陽光は動いていないうえ、夜中はエコキュートが湯沸しするので、一日の中でもっとも多く電力を消費します。
私の家の場合はこんな感じ。↓

Screenshot_2016-09-04-18-54-46-576x1024

22時から朝5時くらいまでが電力消費が多いですよね。
これにエアコンその他の暖房機器が動いたらどうなるのか・・・。コワいですね。

九電の料金メニューの時間帯の円グラフだけ見ていたら騙されますよ。九電の新料金メニューは、時間帯別の使用量料金とは別のところでしっかり電気代を徴収する仕組みになっていることにご注意ください。

実際に自宅のHEMSでシミュレートしてみました。
すると、
Screenshot_2016-09-04-17-44-35-576x1024

なんだ、やっぱり値上がりするじゃん!!!
これ、蓄電池も併設して購入電力量を減らしているからこれで済んでるけど、もしもなかったら基本料金が大幅UPしてしまう可能性があるので、写真の「+17000円」じゃ済まないよね。(「+50,000円」くらいか?)

オール電化+太陽光だけだと、夜の電力消費を減らせないから不十分ですね。
逆に、電力消費を低く抑えられれば、九電の新料金メニューの使用量料金値下げ部分の恩恵を受けることが出来ますね。
新料金メニューの方は、太陽光の設置だけでは不十分です。蓄電池も併設してデマンド抑制する必要があります。

これからは、太陽光+蓄電池をセットで設置することが必須の時代になりますよ。

ご参考まで。

用松 俊彦


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