パワコンが原因の出力低下はない
「パワコンが原因の出力低下はない」
こう書くと誤解を招くかもしれませんが、私が言いたいのはパワコンが劣化や故障などで「停止」することはあっても、パワコンが自然に年々出力低下していくことはない、ということです。
「太陽光の出力低下」は、ほぼ間違いなく「太陽光モジュール」の劣化(または破損)が原因です。
なぜこんなことを書くのかというと、最近「シャープの無料点検」と偽ってパワコンの点検(=実際には点検したフリ)をして「パワコンの出力低下」を理由にハイブリッド型蓄電池の設置あるいはパワコンの交換工事に持ち込もうとする「悪徳」訪問販売業者が後を絶たないからです。
彼らは必ずと言っていいほど「パワコンの出力が落ちている」と言ってパワコン交換、あるいはハイブリッド型蓄電池の販売に持ち込もうとしてきます。
ここ半年、毎週のようにお客様より「サンビスタの無料点検」についてのお問合せをいただきます。
お問合せを頂いたら、「シャープによる無料点検」とか有り得ないので無視するようにお伝えしています。
※2020年12月4日のブログ『「無料点検」に注意(悪質な業者の事例)』をご参照ください。
そもそも、パワコンの運転に支障が生じた場合、エラー番号が出るなどして必ず「停止」します。
「出力を落としながらも運転を続ける」などという器用な動作は出来ません。
誤解を恐れずに言うと、「パワコンの出力が低下している」という事象はあり得ません。
(ただし、マルチストリング方式の場合、複数あるアレイの入力回路の中の一つが動かなくなって、見た目「出力が落ちた」ように見えるケースはあります。=実際には「入力回路の破損」による回路の「停止」であって、「出力低下」ではない。)
パワコンのエラー表示が出ずに出力低下が見られる場合、ほとんどの場合原因は「太陽光モジュール」側にあります。
運転開始後15年以上を経過しているような物件では、モジュールが破損していたり、劣化しているなどして出力が低下しているケースを多く見かけます。
「出力低下」が見られる場合、点検費用がかかってもメーカー自身の技術者による正規の点検・原因究明をすべきです。
普通の販売店、工事店レベルで太陽光モジュールの出力低下を測定する機器(数百万円します)を所有している会社はありません。
出力低下の原因がモジュールにあるのか、パワコン側にあるのかをメーカーに(有償で)診断してもらった上で対処法を考えることをお勧めします。
ただし、お客様自身でメーカーに現在の太陽光発電システムの状況を説明するのは難しいと思います。当社にご依頼いただければ、当社が現況を確認した上でメーカーのサービス部門に状況を説明させていただきます。
メーカーによる点検をご希望の方は遠慮なく当社にご相談ください。
用松 俊彦